時間が経過した事件は要注意
公訴時効

時間が経過した事件は要注意

1:時効が近い

 時効期間内だから告訴は受理してもらえるだろうというのは,実務上は必ずしも正しくはないのです。
法律上は受理可能でも,時効期間満了まで1年を切っている事案は相当厳しいです。
 なぜかというと,あなたや御社が告訴したいと思っていても,警察はそれまでの受理した告訴事件を捜査しており,とくに時効が近い受理した告訴事件は優先的に処理しています。順番待ちのようなイメージです。
 これは処理体制の問題です。
 所轄では詐欺や横領を捜査する知能犯係の捜査員が4人程度しかいないところもあり,大半はドラマのように大人数の捜査員が組織だってスピード感をもって捜査しているわけではないのです。
  時効が1年残っていても,それを捜査している余裕がないときは警察は受理をしたがりません。

2:なぜ今?

 被害から時間がかかっているということは,その間どうして被害を訴えなかったのか,なぜ今なのだろう??という疑問は持たれます。
 加害者の報復や人間関係での恐れがあって訴えられない間柄であったとか,被害認知が遅れる事件,巧妙な手口により発覚が遅れた詐欺・横領など,疑問点をクリアできることもありますが,そのようなクリアできる事情がない場合は,そこはほぼ必ず問われます。

3:記憶や証拠の散逸や消失

 被害から時間が経過するということは,関係者の記憶も時間の経過で曖昧になることが多く,証拠も散逸します。たとえば,携帯電話の機種を交換して事件に関する動画などのデータがなくなってしまったなどがあります。
 いかに被害を受けても証拠がなければ立件できませんので時間が経過するということはそれだけ告訴のハードルは上がるのです。



公訴時効
法定刑の上限 時効 具体例
無期の懲役又は禁錮 20年   不同意わいせつ致傷罪,不同意性交等致傷罪
長期15年以上の懲役又は禁錮 10年   強盗罪,傷害罪
長期15年以上の懲役又は禁錮 15年    不同意性交等罪、監護者性交等罪
長期15年未満の懲役又は禁錮 7年   旧強制わいせつ罪,窃盗罪,
詐欺罪,恐喝罪,業務上横領罪
長期15年未満の懲役又は禁錮 12年   不同意わいせつ罪、監護者わいせつ罪
長期10年未満の懲役又は禁錮 5年   未成年者略取及び誘拐罪,横領罪
長期5年未満の懲役
若しくは禁錮又は罰金
3年   暴行罪、侮辱罪,過失傷害罪、
過失致死罪,名誉毀損罪、器物損壊罪
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中小企業法務とともに常時刑事事件を多数経験

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