刑事告訴って
実際どうなんだろう

被害届の提出と告訴は違うが違いはあまり重要ではない

被害届の提出とは,犯罪被害を受けた事実を捜査機関に申告するための書類である被害届に「こういう犯罪被害を受けました」という事実を記載して捜査機関に報告し、届け出ることです。犯人の処罰を求めるという処罰意思を捜査機関に伝える書類ではないです。
 告訴とは、被害者らが捜査機関に対して、犯罪に遭った事実を申告して犯罪者の処罰を求めるための手続きです。そのための書類が告訴状です。
 法律上は、被害届と告訴では犯罪被害を受けたことを捜査機関に伝えるだけでなく犯人の処罰を求める意思も捜査機関に伝えるかが違います。
ただし、実務上は,被害届の受理の際には、遅かれ早かれ、加害者の処罰を求める内容の調書を作成するものなため、被害届の受理による場合も告訴の受理による場合も加害者の処罰を求めて捜査がスタートするという機能がある点で大きな差を感じません。
 加害者の処罰をするために捜査を開始して欲しいという被害者視点では大きな差が無いと感じます。

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現実の告訴の手続はドラマの世界と全く違う

 刑事ドラマやサスペンスものでは、いかにもな悪役が「名誉毀損で告訴してやる!」とか言っていたり、弁護士が告訴状を警察に持ってきたり郵送したりしている場面を時折見ます。このようなイメージをお持ちの方が実に多いというのが実感です。
 しかし,これは実務の現実とはかなり違います。
 本当に加害者の検挙を目指して捜査してもらう案件ですぐに告訴状を持っていくことはありません。
 告訴状は告訴状「案」とし,日付も印鑑も押しません。告訴状としては全然完成していない案を持参して管轄のある所轄警察に相談をします。
 本当に捜査をして欲しいのにいきなり東京地検特捜部に送りつけるようなことはしません。※市民団体の政治的活動の意味合いの強い刑事告発はそうするかもしれませんが、ここのサイトではそのような政治的活動的な告発ではなく、被害を受けた方や企業が本当に捜査をしてもらいケースを取り扱います。
 告訴状案をもとに相談をし、警察は,告訴受理までに本当に色々な捜査をします。預金口座のお金の流れの解析,防犯カメラの動画取得,被害者の調書作成,関係人の調書作成などかなりの捜査をします。
 警察は、その過程で、検察官に告訴を受理するかどうか、そのような罪名や事実で受理をするか、足りない証拠は何かなど事件相談を重ねていて、不足するものを被害者から新たに調書を作成したり、新たな資料を求めてきます。
 こうして、事件として立件する罪が決まり、立件していく事実が決まり、警察の側から「こういった内容の告訴事実にして控訴状にはこれらの資料をつけ提出してください」と言われます。
 これによりようやく告訴状案ではなく告訴状を作成し、押印し、日付を入れて提出となります。
 告訴状受理までに被害者サイドでやるべきことのほうがとても多いというのが実務です。
 告訴受理は実務では捜査のスタート地点ではなく告訴手続の中でそれまでの被害者が協力しながら進めた警察捜査の努力の結晶で成果点といえる段階です。
 告訴状を出せば受理してもらい警察が捜査を始めて全部調べてくれるというのは大間違いというのが率直なところです。

告訴状の受理後はどうなるか

 被害者と警察の努力の結果、告訴状が受理されると、警察としては告訴状受理により色々とやりたい捜査があり、とくに強制捜査、ガサと呼ばれる捜索差押えが多いかなという印象です。加害者側の領域にアクセスするような捜査がわっと増えるような印象があります。
 告訴状の受理は、強制捜査、その中でも事案によっては究極的には加害者を逮捕するという段階が近いかもしれないなという認識でいても大きく間違ってはいないという実感です。
 さかのぼって見と、告訴受理までの過程は、強制捜査の令状をとりやすい事実を告訴状受理までに絞る、それには証拠が付いてくる事実に絞っていくという作業であり、告訴状受理までの被害者と警察の共同作業でそれをやっていくとも言えるでしょう。最初の警察への相談のときから事件はかなり洗練されていき、立件しやすい、令状が出やすい事実に絞られていくというイメージです。

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